2009 住宅業界4つの変化
2009年 新築住宅業界はどこへ向かっていくのだろうか…。「金融不況」「着工数激減」等など、口をついて出るのは後ろ向きな言葉ばかり。工務店業界はこの難局を乗り切れないのだろうか。いや、乗り切れる! 閉塞感を打破しようと新たな挑戦を続ける工務店の事例を元に、2009年のキーワードを読み解く。
2009年“高品質な安い家”が売れる!?
CHANGE変化1 住宅商品
コンパクトハウス
総額は安いが坪単価80万円弱
小さくても窮屈じゃない家
こだわりユーザーが行列をなす工務店として名高いシンケン(鹿児島県鹿児島市・迫英徳社長)は、昨年12月、述べ床面積約25坪のコンパクトハウス「椙BOX」を発表。本格販売スタートに先立ち、1棟1900万円(税込)で20組限定のモニター募集を開始した。
これまで1棟3〜4000万円の住宅を提供してきた同社が初めて販売する低価格住宅だけあって、「私たちでもシンケンの家が買える」と諦めていたユーザーから問い合わせが相次いでいるという。
同社が敢えて低価格の住宅開発に踏み切った理由は、近年の受注環境に大きな危機感を抱いていたからだ。鹿児島県内で4000万円ものコストを掛け住宅を建てられる人は減少している。かといってローコスト住宅は造る気もしない。そこで従来のクオリティは落とさず2000万円以下の住宅を造ろうとなった。
品質を下げず価格を抑えるために同社が考えたのが、「コンパクトにする」ことだった。今回募集したモニター住宅は、7×6mの2階建てで、ハコ型の家だ。同社の住宅は40坪前後が主流でここまでコンパクトな住宅はあまりなかった。もう一つのポイントが部材統一による効率化だ。
具体的な仕様はこれから発表となるが、構造材は椙の集成材、それも九州の山の材を使用している。内装材は椙の集成構造材「Jパネル」を使用。「Jパネル」は協同組合レングスが製造販売する内装材としても使える構造材だ。機能的には、環境創機(東京都国立市)のソーラーシステム「そよ風」を標準装備している。これら統一された部材活用でコストダウンを実現している。
福岡県太宰府市周辺で、年間約65棟受注のエヌエイホーム(福岡県太宰府市)も、今年1月3日から総額1350万円(屋外工事費込)のエコロジーなコンパクトハウスの販売を開始した。プランは5パターンで坪数は28〜30坪。従来の平均延床面積より10坪前後小さい家だ。総額は1350万円と値ごろ感はあるが、坪単価にする45万円と決して安くはない。床、建具、内装造作物など全て無垢材を使用。次世代省エネ基準の高気密・高断熱住宅だ。
「小さい家は、初期コストも抑えられるだけでなく、ランニングコストも低減できる。この点をアピールしたい」(川口憲美会長)
これら2社以外にも続々と高品質なコンパクトハウスがリリースされている。小さい家ながらも、我慢しない家、生活にコストをかけない家・・・。今の消費者が求めている住宅トレンドになるのではないだろうか。
【4つのCHANGE】
(1)住宅商品→高性能コンパクトハウス
2009年、消費者は安価な住宅を求める傾向がさらに強まるだろう。しかしこれまでのローコスト住宅のような“安物”はいらない。「高品質だが低価格の住宅」こそ、支持される住宅のキーワードとなるのではないか。そこで品質を落とすことなく総額を下げる手法として、述べ床面積25坪前後のコンパクトハウスが注目を集めそうだ。
(2)サービス→買い取りシステム
2009年、消費者は生活の先行き不透明感から、買い控えや購入延期の傾向が顕著になるだろう。なぜ住宅購入を先延ばしにしてしまうのか。リストラや勤務先の倒産などでローンの支払いなどできない状態に陥ってしまう不安を抱えているからである。そこで万が一の時、即座に現金化できる「買取システム」が消費者に受け入れられるのではないだろうか。
(3)営業戦略→大都市圏への飛び地出店
2009年、住宅着工数は減少傾向に歯止はかからないだろう。当然のことながら着工数は人口に比例する。そこで地域工務店の生き残りを掛けた戦略として加速するのが「大都市圏への飛び地出店」だ。知名度はないが営業力や技術力を引っ提げ、都へ攻め上がる“戦国武将”が増加するのではないだろうか。
(4)経営戦略→不得意分野はアウトソーシング
2009年、受注棟数は減少基調に転じるだろう。となると経営の効率化、無駄の徹底排除が当たり前となる。そこで各経営者が考えることは“餅は餅屋。得意分野に経営資源を投入しよう”。工務店が苦手とする営業やアフターメンテナンスを代行する企業が続々と誕生してくることだろう。