10年間無料アフターメンテナンスサービス開始
施工精度を高めることでアフター経費を抑制
片瀬建設(静岡県焼津市)
新築棟数の減少、建築資材価格の高騰、日々多様化する施主のニーズ…工務店を取り巻く環境の厳しさは増す一方だといえる。こうした建築市場での生き残りを賭けて有力ビルダーは小さなことから抜本的な大きな問題までたゆまない努力を続けている。工務店の業務改善の最新事例を取材した。
アフターメンテナンス
焼津市を中心に静岡県内で注文住宅事業を展開し、年間135棟を手掛ける片瀬建設(静岡県焼津市)では、9月から10年間アフターメンテナンス無料制度を開始した。施主からの修繕要請などに10年間は原則無料で対応を行う。
同社の手掛けた住宅のうち、JIOの10年保障を全棟適用し始めた3年前の物件まで遡ってこの10年無料メンテナンス制度は適用されている。修繕費用は協力業者界での積み立てと同社の予算から捻出される。
これまで、同社では無料アフターメンテナンス期間は2年間という設定で対応を行ってきた。今回の無料アフターメンテナンス期間延長では一気に5倍の期間まで対応期間を伸ばしたことになる。
10年間無料サービスを実現できた背景には、同社の施工精度の向上が上げられる。2年間無料アフターメンテナンスサービスを始めた当初は、年間に1400万円から1500万円の修繕経費が掛かっていた。同社の住宅は2×4だが、2×4特有のパネルの継ぎ目のクロスの割れやよじれなどをはじめとしたクレームとなりやすいポイントを1つ1つ潰すことで、年間の修繕費用は300万円程度まで減少している。
「かなりの長い時間を掛け、施工品質を向上させてきました。2×4に特化しているため、2×4特有の問題などには長年の経験から対処しやすかった面はあります。かなり細かいポイントまで徹底的に施工の品質を向上させ、修繕の発生しにくい家作りを進めてきたことが今回の10年無料メンテナンス制度の導入の基礎となっています」(下田隆社長)
とはいえ、年間130棟前後で2年間無料アフターメンテナンスを行った際には対象物件は260棟程度。10年間では単純計算で1300棟と一気に跳ね上がる。修繕要望も年を経れば経るほど発生率は高まる。だが、今回のメンテナンス期間延長は同社の顧客との一生付き合いを続けていくという姿勢の明確な表明でもある。
「現在、弊社の年間受注における紹介率は約35%、40棟ほどです。これを100%近くまで引き上げたいと考えています。もちろん現実的には難しいでしょうが、顧客満足度を高め、感動してもらうぐらいのサービスを実現して紹介率をさらに高めるためには必要なことだと考えています」(同氏)
アフターメンテナンス専任スタッフを5名配し、素早く対応ができる体制の構築も行っている。需要が落ち込みつつある現在だからこそ、地域の施主との密着度を高めていく戦略は有効性を高めているといえる。
片瀬建設の仕様改善例
片瀬建設ではヘアクラックの発生を抑えるために、鉄筋の量を倍にし、弾性剤を基礎に使用している。
基礎に生じたヘアクラックを修繕してほしいという要望があった場合、ナルファルトを注入し、防水の塗装をやり直す必要が生じる。工事費用としては10万円以上は掛かる修繕になる。
こうした仕様の改善によって住宅のコストは上がるが、顧客満足度、そして長期的にクレーム発生を抑えられる。こうした細かい改善を積み上げていく作業を行っている。